再就職の支援制度

高年齢雇用継続給付とは60歳以降に賃金が下がったときの給付率10%と支給の条件

高年齢雇用継続給付とは|60歳以降に賃金が下がったときの給付率10%と支給の条件

60歳以降に賃金が下がった状態で働き続ける、または再就職したときに受けられる高年齢雇用継続給付の仕組みを、ハローワークの案内で整理します。給付率の改正、計算例、申請の流れ、注意点を確認できます。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。当サイトについて

高年齢雇用継続給付とは

60歳を過ぎて、定年後の再雇用や再就職で働くとき、賃金が下がることは珍しくありません。雇用保険には、そのような場合に、賃金の低下分の一部を補う「高年齢雇用継続給付」があります。

ハローワークの案内では、この給付は、「高年齢雇用継続基本給付金」と、基本手当を受給し、60歳以後に再就職した場合に支払われる「高年齢再就職給付金」に分かれます。シニア世代の転職・再就職を考えるときに、知っておくと選択肢が広がる制度です。

高年齢雇用継続給付の基本

支給の条件と金額の要点は、次のとおりです。

項目 内容
対象 雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある、60歳以上65歳未満の一般被保険者
支給される状態 原則として、60歳以降の賃金が、60歳時点に比べて75%未満に低下した状態で働き続ける場合
支給額 各月の賃金が60歳時点の賃金の64%以下に低下した場合は、各月の賃金の10%相当額。64%超75%未満に低下した場合は、低下率に応じて、各月の賃金の10%相当額未満の額
支給されない場合 各月の賃金が397,369円を超える場合(この額は毎年8月1日に変更)
支給対象期間(基本給付金) 60歳に達した月から65歳に達する月まで。60歳時点で被保険者期間が5年に満たないときは、5年になった月から
高年齢再就職給付金 60歳以後の就職日の属する月(月の途中なら翌月)から、1年または2年を経過する日の属する月まで(65歳に達する月が限度)

令和7年3月31日以前に60歳に達した人(その時点で被保険者期間が5年以上ない人は、5年以上となった日)は、賃金が60歳時点の61%以下に低下した場合に各月の賃金の15%相当額が支給されるなど、給付率が異なります。令和7年4月1日以降に対象となる人の給付率は、10%に引き下げられています。

高年齢雇用継続給付の具体例

ハローワークの案内にある例で、計算を確認します。

項目 内容
60歳時点の賃金 月額30万円
60歳以後の各月の賃金 18万円
低下率 18万円÷30万円=60%(64%以下に該当)
支給額(令和7年4月以降に対象となる人) 18万円×10%=1万8千円

給付はあくまで賃金の低下を一部補うもので、生活を大きく支える金額とは限りません。賃金と給付を合わせた手取りを、あらかじめ見積もって、働き方を選ぶことが大切です。

60歳時点で月30万円の賃金が18万円に下がると低下率60%で、賃金の10%の1万8千円が支給される60歳時点の賃金 月30万円 → 60歳以降 月18万円(60%)60歳時点 30万円現在 18万円+給付 1.8万円(賃金の10%)64%75%64%以下なら賃金の10%、64%超75%未満なら10%未満(令和7年4月以降に対象となる人)
賃金が60歳時点の75%未満に下がった場合が対象。各月の賃金が一定額を超えると支給されない(毎年8月に改定)。

高年齢雇用継続給付を受け取る流れ

  1. 雇用保険の被保険者であった期間が、5年以上あるかを確認します。
  2. 60歳時点の賃金(月額)を、60歳到達時の賃金証明書の写しや、給与明細で確認します。
  3. 再雇用や再就職で見込まれる賃金を、60歳時点の賃金と比べて、低下率を計算します。
  4. 手続きは、原則として事業主が、事業所の所在地を管轄するハローワークに行います。本人が自ら申請することを希望する場合は、本人が申請することも可能とされています。
  5. 支給申請は、原則として2か月に1度、支給申請書を提出します。初回は、最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から起算して4か月以内に行います。
  6. 基本手当(失業保険)を受けてから再就職する場合は、基本手当の手続き(失業保険のもらい方)とあわせて、高年齢再就職給付金の対象になるかを、ハローワークで確認します。

高年齢雇用継続給付の注意点

  • 給付率は、令和7年4月の改正で、旧制度の15%から10%に引き下げられています。古い記事や資料の数字は、現在の制度と異なる可能性があります。
  • 対象となるのは、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある人です。再就職の場合は、基本手当を受給したことが前提になります。
  • 賃金が基準の上限額を超えると、給付は支給されません。上限額は毎年8月1日に変更されます。
  • 手続きは事業主が行うのが一般的ですが、申請書の添付書類(賃金台帳、年齢が確認できる書類など)の準備が必要です。会社の担当者に早めに相談します。
  • 60歳以降の年金との関係(在職老齢年金など)は、別の仕組みです。年金事務所で確認してください。

高年齢雇用継続給付でよくあるミス

  • 給付の対象になると思い込み、賃金の低下率や被保険者期間の要件を確認しない。
  • 旧制度の給付率(15%)を、現在の制度として見積もる。
  • 初回の支給申請の期限(4か月以内)を過ぎてしまう。
  • 年金の調整について、確認しない。

高年齢雇用継続給付のチェックリスト

  • 被保険者であった期間は、5年以上か。
  • 60歳時点の賃金と、現在(見込み)の賃金を比べたか。
  • 賃金が上限額(397,369円)を超えていないか。
  • 手続きを、会社の担当者に相談したか。
  • 初回申請の期限(4か月以内)を、確認したか。

高年齢雇用継続給付のFAQ(よくある質問)

Q. 65歳を過ぎても支給されますか。
A. 支給対象期間は、65歳に達する月までとされています。

Q. 定年後に別の会社へ転職した場合も、対象ですか。
A. 基本手当を受給し、60歳以後に再就職した場合に、高年齢再就職給付金の対象となる場合があります。条件は、ハローワークで確認してください。

Q. 転職活動の進め方は、どこで確認できますか。
A. ハローワークの求職申込みで、ハローワークの使い方をまとめています。

筆者の見解(高年齢雇用継続給付)

高年齢雇用継続給付は、賃金が下がった分を全額補うものではなく、働き続ける選択を少し後押しする制度だと考えます。私は、給付がある前提で再雇用の条件を決めるのではなく、「給付がなくても生活が成り立つか」を先に確かめることを勧めます。制度は改正で給付率が変わっているため、最新の内容を、ハローワークで確認してください。

高年齢雇用継続給付の関連項目

出典(一次情報)

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の雇用契約・手続き・税務・法律上の助言ではありません。制度や基準は改正されることがあるため、最新の内容はハローワーク・日本年金機構・協会けんぽ・国税庁などの公式サイトや窓口でご確認ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。